顧客至上主義は辛い

  顧客至上主義は辛い

お役立ちコラムCOLUMN

2016.03.08

顧客至上主義は辛い

歯科医療もいまや競争原理が働き、患者さんのニーズにこたえられない歯科は消えてゆかざるを得ない時代となってきています。

しかし、この顧客至上主義も二とおりの見方があります。もちろんどちらが正しいということは無く、それは患者さん自身が判断すべきことだと私は今は考えています。

歯の機能を考えたばあい、審美などの見た目の美しさ等は必ずしもすべてかなえてあげることは難しいでしょう。

一方で、顧客至上主義で考えればある程度の機能的な犠牲は仕方がないと割り切り、患者さんのニーズにこたえてあげる必要も出てくるでしょう。

歯科医師も生活をしてゆかねばなりませんから、自分の気持ちを殺してでもそのニーズにこたえ、売り上げを上げる必要もあると思います。

私もこのことに関しては何年間も悩み続けましたが、何度悩んでも、結局自分の気持ちの中で割り切れないものはすべきではないという結論に至って、今があります。

勉強してきたわれわれでさえ難しいと思う歯科医学に全く素人の患者さんの要求に全てこたえること自体はあまり正しいとはいえない顧客至上主義と自分では考えるので、結局そのような治療法は取り入れないのです。

歯科医師も若いころは、「良い方法だよ」といわれたものは何でも飛びついてやってみたくなります。

しかし、永い間その治療の結果を見てゆくと「あれ?」といったことは実際少なくありません。
私自身も昔飛びついてやってみた治療が思いのほか結果がよくなかったことが沢山有りました。ここの内容については触れませんが、年を取ってくるとそのような治療自体をやること自体が抵抗が出てしまいます。
そして、結局、基本に忠実なオーソドックスな治療を丁寧に確実に行うことがもっとも重要と考えるようになってきます。

どんな先生もそうだと思います。インプラントや、全部かぶせ物にしてしまうフルマウス治療など、若いときは魅力に感じたたくさんの治療が、結局長い目で見ると問題が多いと理解して、経験のある先生の言うことは本当なんだと思うことがだんだん増えてきます。

もちろん若いころのように自分自身も見た目にこだわらなくなってきていることもあるのかもしれませんが、歯科医ですら、すぐに理解できなかった10年も20年も先の歯のことを、患者さんが理解して治療を受けるはずもないのは当たり前といえます。

自分に良い縁があって、その良い縁で出会った先生の誠意を理解できれば、きっとよい結果が生まれるでしょう。こんな出会いもその人自身の生き方で生まれてくるものだと思っています。

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