ワンランク上を行く治療とは?

  ワンランク上を行く治療とは?

お役立ちコラムCOLUMN

2015.06.23

ワンランク上を行く治療とは?

私が、26歳で晴れて歯科医師国家試験に合格し、歯科医師になった当初は、歯科医師として、「治療がきちんとできるようにさえなれば、歯科医師として一人前である。」
と考えたものです。

当時は何もできない自分にいつも劣等感を抱いていました。

「入れ歯を作っても、いつまで経っても痛くて噛めない。」

「虫歯の治療をしても痛みが消えない。」

このような、今の自分では解決できないことがほとんどの毎日のことでした。

特に苦手だったのが抜歯と、根管治療、そして開業してしばらくしてからの矯正治療でした。この3つの治療は特に大学できちんとした教育が行われていない分野だと今でも思っています。

大学院に通っているときは常に、先輩の治療技術を盗もうとしたり、どうやったら痛みが消えなくなるのだろうと教科書を読みなおしたり、考えることが多かった気がします。

しかし、大学院在学中でアメリカの歯科教育を知ったときは衝撃でした。

「日本の歯科教育(少なくとも私が出た当時の大学での教育)は全然足りない」とはっきり感じたものです。

あれから20年以上も経ち、痛みが直らない原因や、かみ合わせがうまくいかない原因を私なりに研究し、今ではほとんどの痛みや、治療がうまくいかない原因を理解し、ほぼ100%の結果を出せるようになった気がします。

しかし、そこに行き来ついてわかったことですが、治療とは単に歯の治療がきちんとできればよいというわけではなく、それだけにとどまらないということです。

何故、歯がそのようになってしまったのか?

その根本的な原因を突き止め、それを患者さんに理解させ、そして、それを取り除く努力をしてもらえるようになるまでやって、初めて患者さんを本当に治療をしたといえることに気が付いたのです。

つまり、痛みを取り除いたり、噛めるようにすること自体は、基本の基本、さらに、患者さんの習慣や、嗜好そして対人関係などが自分の歯を痛めつけている、あるいは健康を阻害しているといった、自分では気が付いていない自分の中に潜む問題を理解してもらうことが非常に重要だと気が付くようになったのです。

これこそがワンランク上の治療を言えるでしょう。

よくある問題の一つは喫煙習慣です。

喫煙習慣は、まず本人がなぜ喫煙習慣を始めてしまったかの原因を理解しなければやめることができません。また喫煙習慣は絶対に取り除かなければ、病気の原因を作っているようなものです。

喫煙習慣がやめられない人の多くは、甘えがあります。
自分の健康を阻害する習慣をやめられないのは甘え以外にありません。

喫煙は、もちろん苦しいことから逃れるために自分をあえて麻痺させるために行うものですから、これをやめることができないということは、麻痺させなければ苦しいことに立ち向かえないという弱さもありますし、また自分自身をその苦しみから解放しようとする努力や勇気がないといった一面もあるように見えるのです。

喫煙習慣のある人は、非常にきつい勤務体制の職場で働いていたり、ストレスのかかる業務をしていたりと、人によって様々です。

しかし、実際によく考えてみると、いくら家族と自分の生活のためとはいえ、そのような職場に絶対にしがみついていなければならない理由もないし、場合によってはそのような環境を自分で積極的に変えてゆくこともできるのです。

喫煙や飲酒などは一種の逃げでしかないと思えます。苦しい環境でもそれを改善しようと必死に頑張っている人はたくさんいるのです。

残念ながら、私どもは去年の6月から喫煙習慣のある患者さんの治療はご遠慮いただいているので、そのような方の治療を最近することはあまりありません。

今、実際に治療をしていて感じるのは、自らの環境を冷静に見なおして、自分にとってよりストレスの無い生活を選んだり、環境を変えたりして、本当の健康を取り戻している患者さんがほとんどだという事実です。このような患者さんの姿を見ると本当に治療をしていてよかったと感じます。

初めにいらした時は、完全にテンパっていて、全く余裕のない患者さんの顔が、3ヶ月もすると、いつもニコニコした素晴らしい笑顔に変わってきます。

20年以上歯科医療に携わり、でこのようなことが歯科で出来るきることが分かってきたことは、私自身にとって本当に幸せだと感じています。

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