- 2017.07.12
アマルガム
当医院では、アマルガムを用いた歯科治療を行っております。
時々、その材料は古いし、害があるのではないかと聞かれることもあります。
私自身も大学で実習をしたのは一回だけで、アマルガムを歯科医としてここまで充填することになるとは思いもしませんでした。
しかし、アメリカの大学を卒業した先生にアマルガム充填の治療法を勉強させていただいたとき、正直「こんなに素晴らしい材料があったのか?」と思いました。使わせて頂いたのはKerr社のアマルガムで日本にはほとんど入ってきていませんが、非常に素晴らしい材料で、私も兄の歯も治療から20年以上経っても2次カリエスにもならず全く問題なく機能しています。
結論から言えば、臼歯を問わずこれほど安定した材料はないということです。
歯の治療は、物を噛めることと、虫歯を再発させないことが欠かせない必要最低条件です。そして口腔内でできうる限り長持ちすることも重要な条件です。
20年以上も昔に充填したアマルガムが、外してみたがなんともなっていなかったということは実際には多くあることです。そして歯医者さんの間でもこのように書かれており、アマルガムを積極的に外そうと宣伝している先生はむしろ経営のためではないのかと疑ってしまいます。
よくアマルガムを詰めた人の半数以上がアトピー性皮膚炎や精神障害、不定愁訴の原因となっているとアマルガムの害を主張する人がいらっしゃいますが、中には本当に金属アレルギーの人もいるかもしれませんが、これらの疾患は様々なことが原因とでなっていますし、このことを主張する先生が納得のできるような説明がなされていないので、にわかには信じがたいです。
私自身もアマルガムを10本以上詰められています。歯科医になってから背中のアトピーに悩まされ、アマルガムが原因かもしれないと思ったときもありましたが、矯正治療で噛み合わせを治したり、整体に通うなどでいつの間にかなくなってしまっていました。人によって必ずしも同じではないと思いますが、不定愁訴の原因をアマルガムのせいにするのは少し論理が飛躍している気がします。アマルガムを強度の低い材料に交換するリスクを取ってまで治療を受ける必要性があるか非常に疑問です。
一部の金属アレルギーのある方への充填は不適当だと思いますが、それ以外の患者さんで充填した限りではいずれも非常に良好な口腔状態を維持することに成功しています。その理由として
1、金属なので耐久性が高い。
2、金属なので研磨するとプラークなどがつきにくくなる。
3、小さい虫歯から強度の補強が必要な歯まで様々なケースに使用できる。
4、即日に充填が終了するので、感染のリスクが低い。
5、充填後に膨張し、なおかつ直接充填なので適合が良い
といった利点があります。
そんな理由から今でもアメリカでアマルガムが良く使われているのだと思います。むしろ審美的な患者さんの要求がコンポジットレジン充填を行う歯科医を増やしていると思います。
FDAの見解はこちらです。
当医院に御来院される患者さんの多くが、歯がすぐに虫歯になってしまったり、具合が悪くなる人が多いので、そのような患者さんにアマルガム充填をおこなうと、「噛める感覚をとりもどせるのと、自分の歯にぴったりフィットしている感覚があって本当に具合が良い」といわれます。
ただでさえ歯がダメージを受けやすい患者さんですので、耐久性の高い材料が治療に必要になるからです。
そのような臨床の成績から、私どもは、あえてコンポジットレジンを使用しないでアマルガムを使用しています。
また、アマルガムは確実に充填することが非常に難しい材料です。そのため十分トレーニングされた先生でなければ詰めることができません。現在日本の歯科医師でアマルガム充填を正確に行えるドクターは非常に少なくなっているのが現状です。
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