あるお医者さんとのエピソード

  あるお医者さんとのエピソード

お役立ちコラムCOLUMN

2018.08.18

あるお医者さんとのエピソード

随分昔、お医者さんの患者さんがいらっしゃり、インプラントをして欲しいといわれました。

その患者さんは、大変ストレスのかかる環境で働いていて、命を預かるような立場でした。そして、歯は歯軋りでヒビだらけ、歯の表面もいくつか削れて平らになっています。前歯は削れてとがった部分が何箇所もありました。

このような患者さんの場合、インプラントはおろか、歯の治療でもとても難しいのです。

歯を失ったことで、ブリッジもいやだし、入れ歯は絶対にいやとおっしゃるのですが、インプラントは絶対に適応できません。
もちろん、インプラント反対派の私がはじめからそんな治療をするはずもありませんが。

どうしてインプラント治療をしてくれないかと詰め寄られたのですが、私は「お医者さんならわかるでしょ、やりたくないものはやりたくない、歯科医だからこそ結果がわかっているからやならないのです。やるはずがないでしょう!」

と答えました。

するとそれからは、急に私のことを信用したのか、おとなしくなって、その後の私の治療方針を素直に聞いてくれるようになりました。

医者は、結果がわかっていてよくないことをやるはずはありません。私はそう信じます。そしてお医者さんだからこそ、そんなことをしたくない私の気持ちをはっきり理解してくれたのだと思いました。

歯科では歯科医学をきちんと勉強し、理解できていて、さらに審美眼がなければ本当に行ってよい治療なのかそうでないのかも判断できません。流行の波に乗ってやってよいわけもない治療も増えています。

業者や講習会の先生は自分たちの利益のために矛盾した内容でも平気で売り込むことがあります。

私は疑り深いので安易には信じません。そしてちょっとやってみて、すぐにおかしいと気がつきます。しかし、素直で信じやすい先生は、まるで催眠術にかかったかのように信じ込んでどんどん流行の治療を始めます。

これは催眠術や洗脳と一緒です。その洗脳を受けた先生も結果を見ておかしいと思いながらも、お金のための判断し、自分を催眠状態にして治療を続ける先生もいれば、良心のある先生はやがてその治療の恐ろしさを知りやめてしまいます。

「インプラントがうてるのも今のうちだけだよ」とインプラントの問題が出る前に先生がささやいていました。

「マウスピース矯正に手を出さないほうがよいですよ」私が業者の偉い方に伝えると、急に聞こえない振りをしました。企業も利益は優先事項です。

業界の人はもちろん心の中では理解しているのです。ただそこまでしなければならないほど歯科業界は疲弊しているのかもしれません。本当に患者さんのためになっていない治療だと、先生は心の中で理解しながらも、自己催眠をかけて、生活のためにやり続けるのです。そうなると医療人としてはおわりです。しかし、そんな先生が増えてしまっている今は患者さん自身が賢くなるしかないのです。逆に患者さんが十分に賢くないからそんな歯科医師が増えるのです。

RECENT POST

CATEGORY

ARCHIVES