安易な自由診療で何が?

  安易な自由診療で何が?

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2016.04.02

安易な自由診療で何が?

日本の歯科医院は特に都心部では、今や自由診療を取り入れなければ成り立たなくなりつつあります。

一軒当たりの患者さんの平均来院数が少ないことと、保険点数が非常に低く抑えられていることが原因といえます。

しかし、一方で経営が成り立たないことが原因で歯科医が生き残りをかけ、自由診療をなんでも導入してきた結果、患者さんにトラブルが発生していることは、今ではわれわれ業界の人間でも否定できない事実となってきました。

今一番大きな問題となっているのはインプラントでしょう。インプラントは昔は治療していたが今は治療をしていないという医院も結構増えてきています。

ところでインプラントは治療よりも、治療をした後のメインテナンスや、問題が起きた際にどう対処するかのほうがはるかに大変な治療です。

自分の歯に問題が起きた場合は、最悪抜歯をして入れ歯やブリッジをすれば何とかなります。またうまく根が残せれば、保存治療でまた機能させることも可能です。

しかし、インプラントは抜くときも自分の歯を抜くのとは全く違ったリスクがありますし、入れ歯やブリッジが嫌でインプラントを選択している人が多いでしょうから、入れ歯やブリッジにする際に納得してもらえるかどうかも一苦労です。

また、インプラントを抜くと、骨が大幅に無くなりますので、入れ歯を作るにしてもかなり難しくなります。

そういったことから、インプラントの調子が悪くて抜いてほしいといった患者さんが来院された際は我々歯科医でも頭の痛いのです。こんな問題が起こることは予想はされていましたが、思った以上に深刻になりつつあります。

一方で、これから問題になりそうなのがクリアライナーやインビザラインなどのマウスピース矯正です。

これらの治療は実際は非常に限られた症例にしか適応できないことや、技術的にかなり難しかったりするのですが、症例をあまり考えなかったり、軽く考えて治療を始めてしまう先生も多くその結果、患者さんによっては、かみ合わせまで狂ってしまっている患者さんがこれからどんどん増えてきています。

デメリットが多いわりには費用も結構かかりますし、治療中にまで審美を求めた結果、医学的なメリットはほとんどない治療となってしまう例も少なくありません。

このような治療は矯正治療ではなく審美治療ですから、歯や顎の機能に良い結果を生むことはむしろレアーでしょう。

安易な自由診療ではなく、「きちんとした根の治療」や「きちんと虫歯を取り除き長く持つ材料で修復する」、「かみ合わせをきちんと考えて治す」などの本来の意味の良質な自由診療が今求められているのではないでしょうか?

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