- 2018.08.17
自由診療専門開業医としての私の誇り
自由診療専門で治療を継続してゆくのは、非常に難しいです。常に結果を求められ、治療結果が出せなければとても責められます。むしろ結果が出て当たり前といえます。
そして、私の医院も自由診療専門となって11年の年月が経ちましたが、そこまで続けるには、治療で結果を出すだけではない苦労がたくさんありました。
重要なのは優秀なスタッフです。自分だけでは治療はできませんから、今のような優秀なスタッフに恵まれ、治療をしてゆく上でストレスなく行える環境にしていただけていることは本当に感謝しかありません。
このような開業形態を保つことが出来ること自体、単なる技術的なものだけでなく、運や、周りの協力者なければ不可能だといえるでしょうし、普段から献身的に医院を支えてくれるスタッフには、本当にどうしてここまでしてくれるのかと思うくらいです。
私が想像するに彼女たちの原動力とは、「患者さんのための正しい治療をしている」という認識と、「恥じることのない技術技術を提供している医院で働く自分自身の誇り」があるからだと思っています。
医療と言えど所詮は経営です。経営できなければどんなきれいごとを並べても、生活ができなければ治療を提供できないでしょう。かといって、良心を偽ったり、治療技術を極めようともしない治療家も少なからずいらっしゃることは事実です。
誰がどう考えても「積極的に治療を行う意味を感じないインプラント」、「ドクター側が治療が楽なだけで、治療結果が不安なマウスピース矯正」、など患者さんの治療の訴えに対して、歯科医学的に正しく治す努力をするよりも、楽に稼げるほうに流れるのは人間の性かも知れません。しかし、歯科医としてそれをやることに罪悪感はないのかと思われるような治療もたくさん選択され、あたかも正しい治療のように扱われています。
実際、インプラントは私が大学に在学中から研究はされていましたが、問題が多く本来はまだ行われるべき治療ではないという認識があったため、大学で教育をされなかったわけです。今は大学でも教育をされていますが、むしろトラブルが増えたため教育が必要となったのでしょう。
私が30年前、一度だけインプラントの講義を受けたとき「インプラントは歯根膜がないので、クッションがない、そして骨との結合部は免疫が働かない、これをどう克服するかが最大の課題だ」と当時の講師は言っていました。それを解決をしないまま多数のインプラントが植えられるようになったことは、「勝てば官軍」ならぬ「やってしまえば治療」といったところでしょう。
マウスピース矯正も、アメリカでもっとも信用の高い矯正メーカーのオームコ社は治療の確実性への疑問から、参入を躊躇していましたが、あまりに市場が拡大したため、競争力を失わないために参入し始めたといいます。
私に残された唯一の誇りは、歯科医としてこのような市場主義的な治療技術の蹂躙に絶対に屈しないことです。歯科医みんながこのような本質とは異なる治療を行えば、患者さんにトラブルが出ることはもちろんのこと、行った歯科医にも必ずしっぺ返しが来るものです。私はそう思うのです。
まあ、経営が出来なくなってしまえばおしまいですが。
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