咬合(噛み合わせ)を考える

  咬合(噛み合わせ)を考える

お役立ちコラムCOLUMN

2016.01.08

咬合(噛み合わせ)を考える

顎関節症というと歯科に携わる先生のほとんどが咬合学について言及せざるを得ません。

しかし、一方で咬合学自体を全く知らない先生も今は残念ながら沢山いらっしゃいます。
中には咬合学のコの字も知らないで、「顎関節症の治療はドウノコウノ」と言っている人もいらっしゃることは驚きです。

もちろん、歴史的に見て見るとアメリカ発のナソロジーやヨーロッパ発のシークエンシャル咬合などさまざまな咬合理論がありながら、いずれの方法も顎関節症を十分に治療できなかったという事実があります。

ですが、少なくとも歴史的な流れは理解してから治療をはじめてほしい気はします。

ところで、私が顎関節症の治療で悩み始めたのは、もう20年以上も昔でした。
大学に沢山の顎関節症症状の患者さんが来院しているにもかかわらず、全く完治した症例がなかった記憶があり、多くの先生は患者さんを遠ざけようとしていました。

何とか治療してほしいと頼まれた患者さんを何とかしようと勉強を始めると、理論はあるが実際は治療効果が無いという矛盾にも気がつきました。

つまり、「理想とすべき咬みあわせこうして採得しなさい」という方法論はあるものの、その結果がほとんど良好とはいえなかったのです。

その後10年以上顎関節症の治療に取り組んできてわかったことは、「そもそも顎関節症で訪れた患者さんの理想的なかみ合わせの位置など採得することは出来ない」という事実でした。

顎関節症は顎の問題のみならず全身にゆがみを生じてしまっている疾患ですから、当然といえば当然です。

今私が行っているやり方は、顎の位置を理想に近い位置に移動させることで体の反応を引き出し、その反応によって少しずつ体のゆがみが正常に近づいたところでまた顎の位置を変えてゆくという方法です。

このように治療をしてゆくと、次第に理想的な体のバランスが得られ、顎の位置も自然に決まってきます。

もちろん簡単そうに書いていますが、実際は10年以上の試行錯誤と、理想的な顎の位置を触診できるようになるまでの長期間にわたる鍛錬が必要でした。

そもそもナソロジーやシークエンシャル咬合で説明している理想的な咬合理論がすべてでたらめであることに気がついたときはかなりの衝撃でした。

そもそも顎関節症になっている人の顎をベースに、位置を探したり、顎の運動を調べても正しい顎の位置がわかるはずが無いのです。

また顎の位置は体のバランスとともに変化するわけですから非常に複雑で難解な治療技術を必要とするわけです。

しかし、一方で、体がバランスの取りやすい顎の位置を体の変化とともに採得してあげれば、最終的には理想的な体と顎のバランスが得られるわけです。

つまりバランスをとりながら噛み合わせの治療をすることで、勝手に体が自然になり、全身までバランスが整い治ってしまうのです。これこそが理想の全身的治療を言えるでしょう。

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