- 2009.12.18
金属アレルギーの治療
金属アレルギーの患者さまには、金属を使った治療はできません。また矯正治療においてもニッケルなどにアレルギーがある患者さまは注意が必要です。
金属アレルギーが多いのは、おもにパラジュウム、ニッケル、水銀などです。最近増えているのはゴールドやプラチナなど貴金属にも反応してしまう患者さまです。
基本的に銀に反応する患者さまはほとんどいません。
患者さま自身で「銀にはかぶれる」とおっしゃる患者さまが多くいますが、実際は銀色をした材料の中に含まれる、ニッケル、金などに反応しているようです。
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実際の治療は、金属を外し、代わりにポーセレンやジルコニアといった、金属を含まない材料を用いてかぶせものや詰め物を作ります。
またニッケルにアレルギーがある場合、矯正に使うワイヤーやブラケットの選択が難しく、治療期間だけアレルギー反応を我慢してもらうか、金属を含まないものやチタンでできた器具を使って矯正を行います。しかしニッケルを含む材料と比較すると、歯の動きも遅くなります。
写真の様に、金属アレルギーの患者さまは瀬戸物のように歯に色が合わせられる材料を使うので、見た目はきれいです。
金属アレルギーに用いられる材料には次のようなものがあります。
(1)レジン(樹脂を用いた材料)
(2)ポーセレン(写真のような瀬戸物を使った材料、原料にジルコニアなどがある)
(3)グラスアイオノマー(セメント材)
(1)のレジンは水を吸う性質があることと、摩耗性が金属や瀬戸物などと比較して劣るため、長期間お口の中で安定した状態を維持するのは難しく、特に奥歯のかみ合わせの面に使用するのはあまり好ましいとは言えません。また詰める際重合収縮といって体積が小さくなる性質があるため、歯との間にギャップが生じることがあり、また十分な抗菌性を持たないため、虫歯になると虫歯が巨大化します。
(2)のポーセレンは、強度が十分で長持ちします。しかし硬い反面脆い性質もあり、歯と接着する際レジン(樹脂)を用いた材料で接着しなればなりません。この接着用レジンは1と同じ性質を持ちます。この接着剤は歯と完全に接着してしまうため、とることが非常に困難で、再治療も難しくなります。またポーセレンの材料自体が天然の歯よりも硬いので歯をすり減らしてしまいます。
(3)のグラスアイオノマーは歯とうまくつきますし、虫歯にもなりにくい良い材料ですが、強度が不足しており、強度が必要な場合や、大きく歯が欠損してしまった場合には使えません。
金属アレルギーの患者さまはそう多くありません。どう考えてもお口の中で長期間長持ちし、虫歯にならないように治療を行うのは金属材料が最も優れた材料です。金属材料は、歯を削る量を減らし、虫歯になる機会を減らし、かみ合わせの状態を長期間維持するのに最も優れています。
最近のアレルギー患者さま事情
最近多くのアレルギー患者さまを治療してきて感じることは、アレルギー自体に問題があるというわけではないということと、アレルギー反応は絶えず変化する可能性があるということです。
スギ花粉など、今迄アレルギーがなかったものに対しても突然アレルギー反応が起きるようになることがあります。これは体自体が敏感になってしまっていることが原因だと考えられます。
私が多く遭遇してきたアレルギーでは金やパラジューム、アマルガムなどが初めのうち多かったのですが、実際は、レジンや、根管治療に使うポリプレングリコールなど、多種多様な薬剤にも反応があらわれることが分かってきました。実際治癒が難しい患者さまの多くは、このアレルギー反応と、かみ合わせが大幅に狂ってしまったことに起因して起きていることが多いと考えられます。
原因となる物質を取り除くことも重要ですが、実際金属アレルギーなどは、代わりに耐久性に問題のあるレジンや、ポーセレンなどを使用しなければならなくなるので、あまり良い方法とは言えません。逆に反応性の高まった体を改善してゆくことも一つの方法です。
アレルギー反応が激しい患者さまほど、肝臓の機能が落ちています(実際の肝機能検査で調べる数値は肝機能のほんの一部でしかなく全く当てにならない)。このような患者さまの肝機能を治してやると、アレルギー反応もやわらいできます。
肝機能が落ちている人は、働いていてもすぐに疲れてしまったり、皮膚に発疹や吹き出物などができやすい傾向にあります。皮膚科でクリームなどをもらって塗っていてもだいたい無駄に終わることがほとんどですし、ステロイドなどは、一見治ったように見えてもかえって状況を悪くしてしまいます。
かみ合わせの悪さと、筋肉の硬直、そして肝機能の低下は、かなり関係があることがわかってきました。実際かみ合わせが体全体の硬直を生み、肝臓が圧迫されたり、血流が抑制され、機能が落ちていることも多いのです。この場合も矯正を含めた歯の治療は大きな効果が期待できるのです。
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