根の悩みの多い日本人?

  根の悩みの多い日本人?

お役立ちコラムCOLUMN

2015.06.26

根の悩みの多い日本人?

日本の人は、根の治療で悩んでおられる方が結構多いと思います。
私が色々な患者さんを治療しているうちにその理由が、次々と明らかになってきたのです。
1、歯を充填する材料に原因がある場合
2、今まで行われてきた根の治療法に原因がある場合
3、感染根管治療も治すことが難しい
4、根管治療や、根管充填に使う薬剤にも問題があることも

1,歯は硬い組織なので一見生きていないかのように感じます。実際虫歯や、知覚過敏などが起きない限り痛みを実感することはほとんどありません。しかし実際は生きています。
その為に当たり前のように感じでいますが、実は神経も通っていて結構デリケートな組織です。
日本は健康保険制度と言って、皆さんがあまねく世界的に見ても信じられないほどの安い費用で治療を受けることができます。特に歯科はその保険報酬が少ないことが知られています。アメリカなどから見ればまるで天国です。
しかし、一方でその弊害として、材料のコストや、滅菌コストなどあらゆる必要と思われるコストまでも削減されていまう可能性があり、難症例ではうまくいかないことがしばしばです。私は電化製品は日本製を多く買いますが、次の理由からmade in Japanの歯科材料をほとんど使うことがありません。
診療報酬の問題もあり、日本の歯科医院では材料コストがかなり抑えざるを得ない関係で、高い材料が売れないため、安価な材料が流通して、高価な材料は流通しにくいという構造があります。私が調べた限りでは、安価な材料の中には組成に問題を起こす成分が含まれたものも存在しています。
特に一般的に日本の歯科で用いられているレジン材でも安価なものや、覆罩材などは生体適合性の低い物もあり、結局充填した後で痛みが残ってしまったりして、敏感な患者さんの場合、最終的に神経を抜かれてしまいまう結果になってしまうこともしばしばです。
痛みや薬剤に敏感な患者さんの場合では神経を抜かれている歯が多いことがしばしば見られます。神経を抜かれている歯の本数が多ければ多いだけ、根の痛み野違和感の問題を起こす歯が多くなることは仕方がないことといえるでしょう。
2,根の先端にはすぐ骨があり、そこから細菌が体中に回ります。治療中に根の中に細菌が入らないように配慮する必要があります。それにはラバーダムが有効ですが、保険診療でラバーダムを使って根管治療を行う先生は非常に稀といえます。
昔、保険の診療報酬にもラバーダム防湿を算定することができました。しかし、販売されているラバーダムの数が歯科医院から請求されているラバーダムの数の1/10にも満たない事実が発覚し、ほとんどの先生がラバーダムを使っておらず架空に請求していると判断されました。その結果、今では根管治療でのラバーダムの診療報酬はなくなっています。(これも架空請求をし続けた歯科医の自業自得とも言えますが)
根管治療をする際にラバーダムをしないということは根の中を清潔に保つことができません。アメリカなどの報告では神経を初めて抜くときにラバーダムを使ってきちんと治療を行えば95%以上の高い確率で良好な結果が得られることが確かめられています。しかし、今の日本の保険点数ではラバーダムを毎回使っての根管治療は採算が合わないと考えられます。
今の日本での保険制度下で確実な根管治療ができるかといえば、痛みを取り除くことができるが、確実な根管治療は難しいというのが本音ではないかと思います。かぶせ物や他の治療で赤字を埋めなければ、根管治療だけで採算は合わない野ではないかと考えられます。
その結果1の理由とも合わせ根の痛みで苦しむ患者さんがたくさんいることになるのです。
3,1や2の理由から、日本では根の中に長い間感染物質が入ったままの根が多くあります、その歯が疲労やストレスが引き金となって痛みだすことがあります。この様な歯を治すことは一苦労です。
長い間根管充填剤と細菌が嫌気性下(酸素の無い状態)混在して存在していたため、嫌気性菌が大量に増殖し、根の中だけでなく、象牙細管を伝わって、かなり幅広く細菌感染が進んでいるため、単に根管をあけ、汚れている部分を掃除をして、洗浄するだけでは痛みが消えないことが結構あります。
そのような場合は、大きく根管を空けて細菌感染が進んでしまった歯を削り取らねばなりません。
いまニッケルチタンなどでできたロータリーファイルなどが普及していますが、これが実際はこのような広く感染を起こした根では、ロータリーファイルだけの治療ではうまく治らないことが多いのです。
4,私が治療をしてきて一番驚いたのは、日本で売られているごく一般的な根管充填用のシーラーや、調薬剤(根の中に入れる薬)なども痛みが消えない原因であったりするのです。
これにはさすがの私も気が付くのに時間がかかり、患者さんに苦労を掛けてしまいました。詳しくはこちらを参照してください。

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