- 2010.01.11
顎関節症の治療は難しい
顎関節症の治療は非常に難しいのです。
これは、子供の場合と大人とで大きな違いがあると思います。
子供の場合は、筋肉がかなり緩んでいる状態なので、簡単に正しい噛み合わせの位置に誘導されてゆきます。そして治療を行ってゆくうちに正しい噛み合わせの位置で噛めるようになってくるので、体調もよくなってきます。
一方大人の場合は話が違ってきます。
大人の場合は、誤った噛み合わせの位置で、ある程度順応してきています。したがって自分では悪いかみ合わせと気づいている人は意外に少ないのです。
例えば、奥歯を治されたり、ブリッジを入れられたりしたことがきっかけになって、顎関節症だとわかったりします。
これらのきっかけでわかるようになる場合は、ほとんどもともと噛みあわせがよくなかったのです。
しかし、一定のレベルを超えたために、症状が出てきたと考えられます。
このような場合私の場合多くが矯正治療が適応になるます。(かぶせ物で行う場合は、かなり歯を削らねばならず、歯に相当のダメージがあるからです)
しかし矯正治療は、顎の位置を日々刻々と変化させるのです。
それによって、大人の場合は特にひどく、今ままでの悪いなりに帳尻が合っていた体に変化を与えます。
したがって治療中に思いもしなかった変化が起こることがあります。
私が経験したり、実際患者さんから聞いた変化は、一時的頭痛の悪化、腰の痛み、首や、手、ひざ周りの痛み、などです。
しかし、正しい位置に顎を移動させている場合のこのような変化は決して失敗して起こっているのではありません。
一時的な好転反応ともいえると思います。
しかしこのことが素人の患者さんには、ただ増悪しているのか好転反応なのかわからないため、かなり不安になる人も多くいらっしゃいます。
このような場合私が患者さんの首や肩を触ると、おおむねよい方向に変化していることがわかるのです。
しかし中には自分がよくなっているのかどうか、わからない患者さんもいらっしゃいます。
ですから、このような体の反応はよくあることだと理解してほしいと思います。
私自身も経験したことですが、現代人の多くが、体が鈍感になりすぎています。
それが、体が治るにつれて、敏感になってゆくのではないかと思います。
自然界の動物は自分の体に悪いものは、においをかいで、決して口に入れようとしません。
しかし、人間は化学調味料で作られた偽りの味をおいしいといって食べてしまいます。
私も体が敏感になるにつれ、マックのミートのにおいに吐き気を覚えたり、化学調味料だらけのラーメンを食べると吐きそうになるようになりました。
しかし、これは体が悪くなったのではなく、むしろ正常になったと思いました。
患者さんは私が触るとほとんど肩にこりがあり、痛がります。しかし自分で認識している人のパーセンテージは低く、自分は肩こりを感じたことがないといいます。
しかし歯の治療を受けて、肩こりが治ってくると、却って肩の張りがわかりやすくなったりするので、肩こりがひどくなったと勘違いして、非常に厄介です。
多くの場合患者さんがナーバスになりすぎると、信頼関係が崩れてしまい、治療を行うことが困難になってしまうと、お互いにデメリットばかりになってしまういます。
このような事実を知っていただければ治療はやりやすくなります。
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