- 2011.07.07
医科や歯科の役割の重要さ
今、歯科医療はかなり厳しい状態に追い込まれています。
著しく低い診療報酬の評価と、教育現場の退廃、そして医院経営の危機、また歯科医になろうとする優秀な人材の減少、と数えればきりがないほど、状況は悪くなっています。
しかし、歯科ほど労力がかかり、しかもみんなの健康維持に非常に役立っている事実は疑いようもありません。
日本の最も不思議なことは、医療や歯科医療の現場で、本当に一生懸命やっている人々に対して、評価が低すぎるところです。
医療でも介護の現場は非常に過酷な労働条件の中で、一生懸命、安い賃金で仕事をしています。患者さんのために頑張るという精神がない人はとてもではありませんが続かないでしょう。
歯科衛生士も、歯科技工士も非常に過酷な労働を強いられております。むろん先生も経営のストレスと、診療のストレス等に追い詰められ。なおかつ、近年では歯科医院も経営が良くないので、小さい医院の中で、衛生士や、技工士についついきつくあたってしまう先生もいらっしゃるので、そういった事も過酷な労働現場を更につらくしているとも聞きます。
歯科医療は、レントゲンやユニット、滅菌機械を揃えたり、水回りやエアー配管などの特殊な内装工事が等が必要で、医院の開業よりはるかに初期投資が必要となるので、診療費はおのずと高額となってしまうはずです。しかし現状は医科よりも低い報酬とはいささか疑問に感じます。
私も大学院時代、保険診療だけの先生のところで働いたことがありますが、一日診療するだけで、身も心もボロボロで、毎日こんなことを続けたら1年も体が持たないと確信し、自由診療で少人数の患者さんを診療するしか自分の生き残る道はないと考えたのが今の診療体系になるきっかけです。
そもそも歯科のように細かい仕事を10人以上一日に診療すること自体、体を壊すか、手を抜くかの二者択一になってしまいかねないと思います。
しかし、実際、歯科医療がまともになされなくなったら、困る人はもの日本全国に及ぶはずです。当然平均寿命にも影響してくるでしょう。
医療も歯科医療も算術化し、歯科ではインプラントや審美歯科等の儲かる本来の医療の目的とは違った方向の治療体系にシフトしてきています。むろん痛みとか、咬めないという最低限のレベルが解決されてきたと言う側面もありますが、同じ咬めるでも質があります。もっと健康的に咬める。という治療が求められるのではないでしょうか?
同様に、医科も経営が苦しくなると透析治療を始めるといった話もよく聞きます、本来の医療ではない不本意な方向に向かってしまっている現状は、歯科医としても情けなく感じますが、どうにかならないものかと思います。
困っている患者さんを助けると言った医療や歯科医療の本来の姿をした医院が少しでも多く生き残って欲しいと切に願いますし、将来も歯科医になる人がいなくなってしまわない事を祈っています。また内容に見合った診療報酬が支払われるべきだと強く感じます。
日本人の平均寿命がこれだけ延びたのも歯科医と医師の力が非常に貢献したことは否定できない事実でしょうから。
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