- 2010.06.22
歯科における保険診療とは?
日本はご存じのように国民皆保険です。
ですからほとんどの人が保険で治療を受けられるのは当然と考えるでしょう。
しかし、医科については私もよくわかりませんが、歯科に関しては保険制度で医療としての歯科治療をきちんと行うのは採算から考えても相当難しいと言わざるを得ません。
そもそも滅菌のレベルはすべて外科処置であるということからかなりの手間を必要とされますし、詰め物やかぶせものの精度はミクロン単位の職人芸を要求されるのですから、コストが当然それなりにかかるはずです。
しかし、残念ながら今の保険制度はかなり低い金額に抑えられているため、治療のレベルも低く抑えられています。
しかし、このような矛盾にもし気がついたとしても、技術を向上するにも、大学でその能力はほとんどありませんし、まずは保険の診療をしないとなると患者さんが来てくれません。
つまり相当なリスクをしょいこまないと、保険をやらない歯科医院など成り立ちません。
保険の歯医者さんよりもキチンとした治療や、滅菌消毒設備を備え、なおかつ、お金を払ってくれる患者さんを集め、そして何より結果を出さなければなりません。
まさに三重苦で、多くの歯医者さんが理想は掲げるものの挫折して保険診療を必死にする構図になってしまうのです。
そういう意味では自由診療のみで開業を成功させている先生は涙ぐましい努力だったと思います。
キチンとした治療は保険では成り立たない、というと怒る人がいるかもしれませんが、これはまさしく事実であり、下手をすると保険制度によって患者さんが作られている場合が多々あるのは、歯科医として非常に不本意です。
本来ならならなくて済んだ疾患にされてしまうのですから・・。
かなりの経済的マイナスでしょう。
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