- 2011.06.04
- 咬合治療
私が矯正治療にいきついたわけ
私は、もともと高齢者歯科学といって、入れ歯それも総入れ歯ばかりを作る講座に在籍していました。
そのため、矯正治療に関する知識は全くありませんでした。
しかし、総義歯を作っているころから、人間はどうして顎関節症になるのだろうと不思議に思っていました。
ほとんどの先生が顎関節症は治らない、薬で治す、ほっておけば良くなる、などいろいろな話を聞きましたが、どれも信用が置けるものではありませんでした。
ちょうどそのころ、顎関節症で悩んでいらした患者さんを総入れ歯にしたところ、非常に調子が良くなりました。
しかし治療後しばらく経って、良く見るとかみ合わせの位置が当初与えた位置と違い、上下の真ん中が完全にずれていました。
それからひょっとすると、「正しいかみ合わせの位置は変化するのではないか?」、あるいは「今まで正しいと思っていたかみ合わせの取り方自体が誤っているのではないか?」と、思うようになったのです。
それから長い年月、顎関節症の患者さんと診療を重ねるうちに、やっと効果が出るかみ合わせの位置を見つける方法を見つけることが出来たのです。
すると、天然の歯しかない患者さんでも、正しいかみ合わせの位置と今咬んでいる位置の間に相当のずれがあり、矯正治療でしか治せない事に気が付いたのです。
それ以来、矯正について講習会に出たり、自分で本を読んだり、知識豊富な先生に教えてもらったり、いろいろ手を尽くしました。
その結果、矯正治療が歯科治療の中でもっとも難解で、しかも最も意味のある治療であることに気がついたのです。
ところで、歯科界では、「かみ合わせを制すれば歯科治療を制する」と言われるほど、咬み合わせは難解で、どうやってもうまくいかないというのが常識です。
矯正治療はそのかみ合わせと強く関係しているために、非常に難しいのだと思います。
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