- 2013.09.15
- マネジメント
固有技術と管理技術
歯科治療を行う際、2つの技術が必要です。一つは医院全体がスムーズに回転し、診療や会計、予約が滞りなく進む技術です。ISOではこれを管理技術と呼ぶようです。
一方、歯科治療は細かい歯を適切に削り、適切な材料で、精緻な充填や、かみ合わせの調整、外科処置などが必要となります。こちらはISOでは固有技術と呼ばれ、ISOの審査を行うことはできず、評価もできません、しかしながら習得には時間がかかり、またこれがなければ歯科医院として成り立ちません。
私は、管理技術を上げる一つの手段として、ISO9001を取得し、それを維持してきました。
ここで非常に強く感じたのは、固有技術の比重の大きさです。
いくら管理技術がしっかりしていても、歯科医の考え方、技術が稚拙であると、歯科治療の8割は失敗に終わります。
今の日本の歯科を見ていると、思想と技術的な間違いが多いと感じます。
治療に対する思想が間違っている例として
「歯を残そうという努力失せた結果の、インプラントに頼る歯科医療」、「審美ばかりで、歯の寿命など全く考えない審美治療」、そして、「かみ合わせの全身への影響を考えもしない矯正治療」など
これら明らかに正しい治療に対する思想が間違っている治療であり、いくら管理能力が長けていても、患者さんは真の意味で治ってゆきません。
一方で、「ラバーダムもしない根管治療」、「出血もコントロールできていない修復治療」、「きちんとしたかみ合わせの診断もできない治療」など明らかに技術的な間違いの治療と言えるでしょう
ISO9001を維持してきてつくづく感じるのは、管理技術がある程度できていれば、このような固有技術のレベルアップこそが最も重要な点であるということです。
ISO9001を取得しようと思う医院の考え方だけでも大したものだと思います。しかし、固有技術が思想、技術ともにきちんとしないと治療はうまくいかないのです。
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